書道と現代アートを融合させた作家集団「ART SHODO」を主宰する山本尚志さん。
いま国際的な注目を集めるアーティストは広島で生まれ、現在も広島で活動を続けています。

―書道と現代アートの融合を目指されていますね?

僕は小学校の時から地元の習字教室に通うようになって、書道の道に入りました。大学の時、前衛書道の第一人者である井上有一先生の作品に出会い、現代アートの作家として「書」を書いていこうと決意しました。しかし当時はもちろん、今も書道は現代アートとして認められていません。僕が作家としてデビューしたのも10年前の46歳で、このチャンスを逃してはいけないと思い、仲間たちと共に「ART SHODO」というグループを作り、積極的に展覧会を行っています。

―絵にそのモノの名前を書く作風にはどういう意図がおありですか?

僕が描いている形は抽象的なので、たとえばそこに「ゲーム」と書いていなければ何の形だかわからないと思うんです。あと僕の作品は、絵であると同時に書=言葉=意味でもあって。「書」が世界に出て行くには、コンセプチュアルアート※1であることが重要だと思うんです。これまでの書道家は漢詩や和歌を書いていたけれど、僕はモノにモノの名前を書く―この手法はまだ誰もやったことがない作風で、僕の代名詞となっていますね。

※1「概念芸術」とも呼ばれ、アイデアや思想を重視した芸術

―今も故郷で活動されていますが、広島への思いはありますか?

僕は被爆二世で、母は爆心地から800mの位置で被爆して、祖父と祖母を亡くしました。そうしたルーツが今の僕の作風に直接影響を与えているわけではありませんが、被爆者である祖父と祖母を書いた作品もあります。自分は遺された命を継ぐ者として、常にそうした記憶を忘れてはいけないという気持ちを持っています。

―ITが主流の時代に、どう対応されていますか?

最近AIを使って作品を作っているんです。AIに作品のコンセプトを作らせて、それに僕がダメ出しをする形で書き直していく(笑)。僕は現代アートをやっている人間なので、先進的なものとの対話を忘れたら、ここにいられないと思うんです。何事もタブー視してはいけないし、そもそも僕は「書道だから絵を描いちゃいけない」という概念を否定したところからはじまってますからね。

この記事の情報は、2025年12月現在のものです。

インタビュー

書家・現代アーティスト

やまもとひさ さん

1969年広島市生まれ。井上有一の作品に出会い、20歳の時に書家を名乗る。2 0 1 6 年に作品集『フネ』(YKGパブリッシング)を刊行。以降、国内外での発表を重ね、現代美術と書の世界を横断しながら評価を高めている。

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